今日の東京市場まとめ 2016/7/27

今日の相場

最終的にリスクオンも、各マーケット、経済対策関連のヘッドラインに惑わされて激しく上下する展開。

今日のマーケットは安倍首相が午後に行った講演の内容に対する思惑で一喜一憂する展開となりました。

安倍首相が午後に福岡で行った講演で経済対策の内容について言及するとの期待から株、為替が上昇。流れてくるヘッドラインに上下しながらも堅調さを維持しました。

債券も追加緩和期待から上昇しましたが、政府が50年国債の発行を検討しているとの観測記事がWall Street Journalから出ると、それまで強かった超長期債が急落。先物主導で長期は堅調だったことからカーブはツイストスティープしました。

今後の見通し

とにかく経済対策と金融政策のセットに期待が集まっている様子。

安倍首相から事業規模28兆の話が出てきましたが、それほどサプライズがあったとも思えません。まぁ緩和期待っていつもこんなもんですが。

とりあえずドル円が昨日の下げを全部取り戻した格好になっていますが、まだチャート的には下方向を見ていい形をしています。

日銀会合まで上も下もありそうですが、とりあえず日経17,000円を超える力はなさそうで、ドル円の106円台というのも滞空時間は短そうな地合いが続くと思われます。下は日経16,300円あたりで買いが入ってきてしまいますし、為替も今日やった104円より下はなさそうです。

日本政府、50年国債の発行を検討 その影響を検証してみた

つい先ほど、日本政府が50年国債の発行を検討しているというヘッドラインが流れました。Wall Street Journalのスクープのようです。

すぐさま各方面からこの報道を否定するコメントが出てきています。

50年国債が発行された場合の影響を考えてみました。

国債の価格が下落する

債券の基本中の基本ですが、年限が長い債券ほど価格の変動性が高い、つまりリスクが高くなります。

より長い国債が発行されるということは、国債全体の発行額が一定だとすると、より短い国債の発行額が減額されて、その分が50年債の発行に回されることになるわけです。

となると市場にはより大きなリスクが供給されるわけなので、市場参加者のリスク許容度が変わらないとすれば、国債の価格は下落すると思われます。

イールドカーブがスティープ化する

国債の年限ごとの利回りを線でつないで形成されるイールドカーブ(利回り曲線)。

50年債が発行されると上記の理由から国債の価格が下落します。さらに年限別に考えれば超長期の発行が増えて、より短い年限の発行が減るので、超長期ゾーンの需給が緩みます。となると、イールドカーブは短いゾーンよりも長いゾーンの利回りが上昇する、つまりはスティープ化するわけです。

50年債を発行する意図

さて、どうして50年債を発行したいのでしょうか。

そもそも国債が多様な年限を発行するのは、よりスムーズに国債の発行を消化するために、国債を買ってくれる投資家の事情を考慮してのことです。

まず、50年債の発行を手を叩いて喜ぶのが超長期債の主な買い手である生命保険会社や年金など、超長期の資金運用を行う投資家達です。

簡単な例を示すと、生保はその名の通りお客さんに生命保険を販売して、入ってくるお金を運用しています。そのお金は性質的に保険加入者が死ぬまで返さなくていいお金、ということになります。そうした長期で調達した資金は短期で運用するより、同じように長期で運用した方が都合がよいため、生保は好んで長い国債を買います。

現在、もっとも期間の長い国債は40年債です。人の寿命に比べればやや短い期間になります。25歳で生命保険に入って、80歳まで生きたら55年間生命保険に加入している計算になります。この期間に応じて運用するとすると、40年債でも短いということになります。

50年債の発行で直接的に恩恵を受けるのは生保や年金ということになりますが、間接的な影響を受けるのが銀行です。

銀行のビジネスモデルは短く調達して、長く貸す、というものです。いつ引き出されるかわからない普通預金、ないしは数年で解約される定期預金という短いお金を調達して、住宅ローン等の長いお金を貸し付けるわけです。短い金利がより低く抑えられて、長い金利がより高く維持されれば銀行にとってハッピーな状況になるってことです。

結論:50年債の発行は誰にとってもハッピー

50年債が発行されるとより長い国債が欲しい生保、年金が喜び、長短金利差の拡大を望む銀行も喜ぶ名案です。

特に日銀がマイナス金利を導入したことによる銀行の収益圧迫が問題視されてきていましたが、短期金利が低く抑えられたまま、長期の金利が上昇するなんてことになればこうした問題も一発で解決です。つまり日銀がマイナス金利を導入しやすくなった、とも言えます。

50年債の発行が本当なら、金曜日に日銀が追加緩和を打ち出す可能性も一気に上がると思われます。

番外編:50年債発行による株、為替への影響

円債市場における影響だけを述べてきましたが、ここで他のマーケットについても見ておきます。

先に述べたように50年発行はマイナス金利導入によって懸念されていた銀行収益への影響を一気に解決しうる策です。なので銀行株主導で株価にとっては上昇要因になりそうです。

金利上昇で企業の調達環境が悪化するという懸念もあるかもしれませんが、そもそも企業に調達ニーズがない、と言われて久しいですし、そもそもマイナス金利を導入してるうちは短いところの金利は引き続き低く抑えられそうなので、その辺の影響は小さそうです。

為替は株の上昇を受けて円安が進行しそうです。

また、影響はほぼないと思いますが、50年債の発行は日本政府の調達コストを上昇させるので、一応円が売られる材料ではあります。

というわけで、50年債発行によるマーケットインパクトは円安株高債券安となりそうです。

昨晩の海外市場まとめと今日の見通し 2016/7/27

昨晩の相場

FOMCを控えて株、債券ともに小動き。為替はドルや円が強い。

昨晩の海外市場ではFOMCを控えて明確な方向感に欠ける展開。欧米株、債券ともにはほぼ横ばいとなりました。

為替は足許の米経済指標の堅調さを受けて、FOMCではややタカ派的な結果が予想されているのか、ドルが買われる展開。

一方で日本では週末の日銀会合に向けて、足許で強まっていた追加緩和に対する期待が剥げ落ちつつある中でドル円は104円台をうろつきました。

今日の相場見通し

今晩のFOMCを控えて様子見。日銀に対する期待剥落でどちらかといえば株安円高。債券は堅調か。

本日の東京市場はFOMCを今晩に控えて様子見ムードが強そう。一方で日銀に対する期待後退が引き続き意識されて円高進行からの株安の展開を予想します。

ただ、昨日の動きを見ても、日経16,000円台前半では買いに押し戻されているので、下値は限定的と見ています。

債券市場は昨日の40年入札がしっかりした結果だったことから、ここまで続いたスティープニング傾向も一服、ブルフラットする展開を予想します。

日銀が7/29の会合で追加緩和する理由、しない理由を考えてみた

今週木曜日、金曜日で開かれる日銀の金融政策決定会合。毎度のことながら、追加緩和実施の有無について市場では様々な憶測が飛び交っています。

日銀は今回、追加緩和を行うんでしょうか?追加緩和する理由、しない理由を考えてみました。

日銀が追加緩和しない理由

やっても市場が思い通りに反応しない

日銀は直接的に意図してはいないとはいえ、追加緩和を通じて国債やETFの購入によって世の中にお金を流し込み、間接的に為替を円安方向への誘導を試みてきました。

最初の2回の追加緩和についてはその目論見通り相応の効果を発揮しましたが、3回目にマイナス金利導入と共に打ち出された際にはむしろ円高株安を招いてしまい、タイミング悪く原油安や中国経済への不安、その後のBrexitなどのイベントも重なってアベノミクスの効果がすべて剥げ落ちてしまうほどにリスク資産の価格は下落してしまいました。

マイナス金利の導入は金利を商売のネタにしている銀行の収益に直接的に悪影響を及ぼすとして、これまでに導入された緩和策と違い、ネガティブインパクトに注目が当たっており、これ以上日銀がマイナス金利を深堀りした場合、銀行株の下落を伴って円高株安がさらに進行することが考えられます。

つまり日銀が追加緩和を行っても、その内容次第では市場が期待するような効果が得られない可能性があるのです。これについては日銀も危惧しているところでしょうし、それでも緩和を打たなければならないような切羽詰まった状況にあるとは思えません。

Brexit後、マーケットは落ち着きを取り戻している

英国のEU離脱が決まった際、よく引き合いに出されたのがあのリーマンショックです。グローバルに景気後退を引き起こしうるイベントだと誰もが身構えました。

しかし、実際フタを開けてみると英国はすぐに離脱を宣言するでもなく、数年単位で離脱に向けて動いていくということが明らかとなり、離脱の影響がどのように波及していくのか、よくわからない状況になってしまいました。

一方で各国中銀が一段とハト派的な金融政策をとる、との期待が芽生え、ほとんどのリスク資産が離脱決定前の水準に戻したほか、米国などは株価が史上最高値を更新しているような状況です。

そんな中、離脱決定後にBOE、ECBはそれぞれが開催した会合で緩和姿勢は示しつつも、いったんは様子見するというスタンスを示しました。

これは英国のEU離脱の影響を見極めたい、という意図からくるものです。確かに英国がEU離脱を決めたとはいえ、まだ具体的なアクションは一切起こしておらず、経済への影響も表面化していません。むしろ株価などの指標は上昇基調にあり、一見するとBrexitなんてなかったかのようです。そんな中で各国中銀としても無駄玉は打ちたくないわけです。

さて、そんな中で日銀はどんな理由で追加緩和を打つつもりなんでしょうか?

日銀が追加緩和する理由

物価が思ったように上がらない

日銀はそもそも物価2%という目標を掲げて緩和策を実施しています。当初2年で達成するということでスタートしたわけですが、未だ達成される兆しがありません。

おそらく日銀が今回の会合で追加緩和を行う場合、この物価目標を達成するため、という理由で追加緩和を行うものと思われます。というかそれ以外に表立った理由はありません。

ただ、消費者物価指数(CPI)は足許伸びるどころか下降傾向にあります。それは前回会合の時も同じです。

となると、前回は緩和しなかったのに、今回はやる、という理由が欲しいところです。

原油価格は足許落ち着いてきていますし、外部要因に理由を見つけようにも上記のようにまだBrexitの影響は表面化してません。

ありえるとしたら「予防的措置」という位置付けでしょうか。

政府の経済対策発表と一緒のタイミングでやりたい

金融政策と経済政策をセットで披露する。ヘリコプターマネーもどきのような政策。

少し前まで本物のヘリコプターマネーが期待されていたことを考えるとどこまでアナウンス効果があるのかわかりませんが、政府としてやりたがっているのは間違いないと思います。

これを実現するためには政府と日銀がどこまで連携して話を進められるか、ということになりますが、黒田総裁がヘリマネ議論を否定する際に説明していたように、中央銀行の独立性という問題がありますし、日銀が再三財政規律を政府に求めていたにも関わらず、消費増税を先送りしてしまった政府と日銀の間にどこまでの信頼感が醸成されているのかはイマイチよくわかりません。

 

で、やるの?やらないの?

というわけで結論。日銀は7月29日の金融政策決定会合で追加緩和を実施しない、と予想します。

日銀にとって追加緩和という実弾はあと何回も打てるものではありません。そんな中で上に挙げたように今、やらなければいけない理由というのがあまりにも弱すぎる上、政府と日銀の連携が密にとれているという前提に立たないと成り立たないものです。

ただ、英国のEU離脱の時と同じく、こうした類の議論というのはほぼギャンブルに近い、というか、結果を言い当てるのはほぼ無理です。

そうした不透明感が強いリスクイベントに対して、どのようにポジションを取るべきかを別の機会で考えてみたいと思います。

今日の東京市場まとめ 2016/7/26

今日の相場

為替が垂れる中で、株が連れ安もしっかり。債券は40年入札無難通過で上昇。

今日の東京市場は為替の弱さが目立ちました。

海外時間で日本の経済対策における政府支出の真水部分が6兆円、というヘッドラインでドル円が強く反応していましたが、よく見てみると今年度分については2兆円と市場が見ていた3兆円よりも規模が小さかったことが失望を呼び、東京時間では終始弱めの推移。

麻生財務相の「金融政策は日銀に委ねる」という発言を受けて、政府・日銀が連携して財政拡大・金融緩和をセットで出してくる、という期待が後退し、ドル円は104円台前半まで下落しました。

ただ、朝から為替に連れて弱めに推移していた株価はこのあたりからしっかりとした雰囲気を見せており、日経の16,000円台前半では押し目を拾う動きがあったようです。

債券は独自要因で上昇。この日実施された40年入札が無難にこなされたことから、足許で強まっていたスティープニング圧力に修正が入り、カーブは大きくブルフラットしました。

今後の見通し

日銀会合まで株為替は弱めに推移か

ドル円は移動平均線、一目均衡表、フィボナッチ・リトレースメントといったテクニカル指標は下方向を示しています。

一方で日経平均はまだ明確に下に行きそうとまでは言えなさそうですが、為替がさらに下に行ってしまうと引きずられる可能性が高そうです。

すべては金曜日の日銀次第ではありますが、とりあえず週内はヘリマネや財政拡大規模に対する期待が剥げ落ちてきていることもあり、株為替は弱めに推移しそうです。

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